Story

#003 DAIWA 爆釣問題 (前編)
「釣果だけじゃない、バスフィッシングの大会」

2025.01.08

誰もが楽しめる大会を。初心者も笑顔があふれた「爆釣問題」

WEBマガジン「HOUYHNHNM(フイナム)」から発足したコミュニティ「HOUYHNHNM FISHING CLUB」と、釣りを軸に豊かなライフスタイルを提案するメディア「BEFORE YOU WAKE UP」との両メディアに加え「DAIWA」が手を組み、『釣果だけにこだわらず、みんなで釣りを満喫したい』という思いを込め、そんな肩の力を抜いて楽しんだバスフィッシングの大会「爆釣問題」を高温多湿な季節に開催した。

参加された皆さんも釣り大会としては異質、バスフィッシング初体験の人も多数参加し、全国各地で開催される釣り大会の雰囲気とは異なる趣向なのだが、こんな当日の様子をレポートする。

2024年6月末、「HOUYHNHNM FISHING CLUB」と「BEFORE YOU WAKE UP」、そして「DAIWA」が共催した釣り大会「第1回 ブギウギ 爆釣問題!(略して:バクモン)」。こんな格式張らない大会名から察せられるように、カジュアルにバスフィッシングを楽しむことが目的といった催しだ。

「HOUYHNHNM FISHING CLUB」は、2004年に設立されたファッション・カルチャー・ライフスタイルを取り扱うWEBマガジン「HOUYHNHNM(フイナム)」から誕生したコミュニティ。「たのしくたのしくチルアウト」をモットーに、釣りを通じて人や自然と触れ合い、都市生活では味わえない体験をマイペースに楽しんでいるコミュニティだ。一方、雑誌やWEBで展開している「BEFORE YOU WAKE UP」は、釣果を目的とせず、そこに繋がり続いていく「時間」にフォーカスしているメディアだ。例えば、日常生活においた釣り談議や仲間と数日かけて釣りに行く旅の道中など、釣りにまつわる「時間」を楽しむことを念頭に、釣りをキーとした豊かなライフスタイルを提案している。

そんな2つの媒体に共通して「DAIWA」が共感した釣りを楽しむスタンスが「バクモン」のレギュレーションにも反映されている。

「BEFORE YOU WAKE UP」編集長 市川純平さん

さてさて「第1回 ブギウギ 爆釣問題!」だが、2人1組でエントリーし、使用するボートは「のむらボート」でレンタルできる10フィートの免許が不要な艇でハンドコンエレキに限定した。キーパーサイズやリミット、使用ルアーに制限はない。バスが釣れたら、大会当日に配布したメジャーで計測し「バクモン」ステッカーとともに撮影した写真をグループLINEに投稿するのがルールといった特異なもの。

そして、表彰項目は5つ。ブラックバスの全長の上位3名に『DAIWA賞』。サイズを問わず数多く釣った人に『バクモン賞』。配布した「STEEZ チキータフロッグ」のSWAGGER仕様を使い午前10時から正午の間に1番大きなブラックバスを釣った人に『SWAGGER賞』。1番大きな外道を釣った人に『BEFORE YOU WAKE UP賞』。「HOUYHNHNM」が独断で選ぶ最もオシャレなコーディネートの人には『HOUYHNHNM FISHING CLUB賞』。
単にサイズだけですべての勝敗を決めず、誰もが少しでも入賞のチャンスを掴めるような表彰項目を設けている。

「普段からバスフィッシングをやっている人にとって10フィートのハンドコンじゃあ~、いつもの釣りができないかもしれませんよね。でも、参加者全員ができるだけ公平に楽しめるような大会にしたかったから、同じ土俵に立ってもらって・・・。そして、サイズだけじゃない賞を運営のみんなで考えて作りました」

と、主催のひとり「BEFORE YOU WAKE UP」編集長の市川純平さん。
そう話すように、さまざまな角度から釣りを楽しんでもらえるような大会を目指したそうだ。バスロッド「SWAGGER」やリールのレンタル、各種ルアーを用意したのも、初めてバスフィッシングをする人を含めて皆さんに楽しんでもらいたいから。


「バクモン」オリジナルのロンTをノベルティとして参加者全員にプレゼント。
この愛らしいキャッチーなデザインは、今年設立10周年を迎えたファッションブランド「F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)」のデザイナー村山靖行さんが手がけてくれた。「F-LAGSTUF-F」は、ヴィンテージを再構築したウエアから、音楽や映画などのサブカルチャーを反映させたグラフィックまで、さまざまなエッセンスを取り入れているのが魅力だ。海外アーティストやアニメなど、思わず膝を打つコラボレーションにも注目が集まる。

そして、村山さんの釣り好きが高じて、「F-LAGSTUF-F」のパフォーマンスライン〈CPG〉では、街でもフィッシングシーンでも快適に着られる機能的なアイテムも展開している。

逆境も好転。スタート前の交流を深める時間

今回の「バクモン」、その開催地は千葉県君津市にある関東屈指のメジャーレイク・亀山湖。
大会当日の朝を迎えると、前日の激しい雷雨から「大雨警報」が発令されていた。湖は濁り、大量の流木が押し寄せていた。警報が解除されるまで出艇できない状況となった。

そんな中、大会開催にご協力いただいた「のむらボート」には、各媒体が声をかけた釣りの手練れからバスフィッシングビギナーまでの28名が続々と集結。スタート時間を遅らせ、しばし待機してもらうことに。
自然を相手に遊ぶのだから、焦ったり苛立ったりしてもしょうがない。雨は上がっていたので準備を進めつつ、参加者同士は歓談の時間を楽しんでいた。皮肉にも、そのほのぼのと談笑する時間が「バクモン」らしさを感じさせた。

参加者の大半は、ファッション関係者やクリエイター。直接は繋がっておらずとも共通の知人がいたり、顔見知りではあるが一緒に釣りに来たことがなかったり、と交流の幅が広がっていたようだ。共通の趣味を介して親交を深めれば、ピースフルな関係を築けるはず。

「HOUYHNHNM FISHING CLUB」部長 / 「HOUYHNHNM」編集長の石井陽介さんは、こう話す。「もともと『HOUYHNHNM FISHING CLUB』は、釣りをきっかけにした新しいコミュニケーションの場としての役割も果たしたい、という思いがありました。みんなでワイワイと盛り上がったり、まったりとチルしたりする釣りの楽しみ方もいいものですね。今回『DAIWA』さんと『BEFORE YOU WAKE UP』と一緒に、いろんな人を誘って大会を開催できて、小さいながらも輪の広がりを実感しています」。

「HOUYHNHNM FISHING CLUB」部長 / 「HOUYHNHNM」編集長 石井陽介さん

それぞれが感じる、バスフィッシングの魅力。

8時前に「大雨警報」が解除され、ようやく大会がスタートした。

思い思いのポイントにボートを走らせてゆく参加者たち。小櫃川上流を目指すボートが目立ったが、上流部ほど流木があふれていた。それに追い打ちをかける、この濁り。果たして今日は釣れるのだろうか。「釣果だけにこだわらない大会」とは言え、一匹でも触りたいのが釣り人の本音。厳しい状況のなか、「どこでどう釣るか」と想像を膨らませていくのも釣りの醍醐味だ。

巡回していると、「F-LAGSTUF-F」デザイナーの村山靖行さんと、フリーランスでアパレルなどのセールスを請け負う林田美貴さんのボートに遭遇。2人はバスフィッシングからオフショアまで楽しむ、生粋のアングラーだ。スタート直後はじいさんワンドに向かったが反応はなく、上流へ移動した。

(左)フリーランス セールス 林田美貴さん、(右)「F-LAGSTUF-F」デザイナー 村山靖行さん

「じつは先週、亀山湖に来ていたんですよ。そのときは、虫系に反応はなく小魚ばかり追っていたので、今日は小さいルアーを用意してきました。でも、この濁りでバスは小さいルアーに気づいていないみたい。ダブルスイッシャーとかフロッグとか、トップウォーターも投げてみたけど、反応はイマイチですね。普段はほとんど使わないけど、ライトリグも使ってみようかなっ?!」と村山さん。

この状況下、いつもと違う釣りも視野に入れながら試行錯誤しているよう。
林田さんが亀山湖へ来たのは約1年ぶり。その間さまざまなフィールドへ足を運んでいたが、改めて亀山湖の魅力をこう話してくれた。

「亀山湖は、いろんなストラクチャーがあるからおもしろい。他の湖以上に、いろんな釣りを楽しめるフィールドですよね。ロクマルが釣れている実績もありますし。簡単には釣れないけど、だからこそ気合をいれて集中しないといけないのもやりがいがあります」。

スタートから1時間も経たないうちに、大会のグループLINEに釣果報告が届いた。

最初のブラックバスを手にしたのは、ロンドン発のスケートボードブランド「PALACE SKATEBOARDS」の旗艦店で働き、モデルとしても活動するRONさん。相模湖をホームレイクに、陸っぱりでバスフィッシングを楽しんでいる彼が、この厳しい状況を見事にものにした。

(左)「痴虫」松本光弘さん、(右)モデル 岡本弘樹さん

松本さんと岡本さんは、この日が初対面。
じつは、バスフィッシング初心者の岡本さんに少しでも楽しんでもらうべく、運営側から松本さんにチームアップを依頼させてもらったのだ。もともと岡本さんと一緒にエントリーしていたのは、モデル仲間の六花さん。彼女は、松本さんとペアを組む予定だった「SWAGGER」の開発者である「DAIWA」の今井亮介と同乗してもらった。六花さんもまた、海釣りを趣味としながらバスフィッシングは初めてだという。

(左)モデル 六花さん、(右)「DAIWA」今井亮介

「海の船釣りが多いから、いろんなルアーを選んで、いろんなポイントを巡っていくバスフィッシングが新鮮です。海釣りより自分で考えることが多いけど、そのぶん釣った喜びは大きいんじゃないかな。今井さんがいろいろと教えてくださるし、話も弾んですごく楽しいです。ボートに乗って1日過ごすと、仲良い人でも、より絆が深まると思います」と六花さん。

時刻は正午に迫り、晴れ間が広がってきた。
RONさんからの一報以来、釣果報告が届いていなかったが、魚の活性が上がったのか参加者たちがコツを掴んだのか、ここから徐々に釣れ始める。

グループLINEに届く釣果報告に参加者たちの気持ちが昂り、キャストに軽快さが増す・・・模様は後半に続きます。

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■取材・文/小松翔伍
■撮影/佐野愛希、菊地晶太、烏頭尾拓磨、吉嗣裕馬

Storyとは「ライフタイムスポーツを楽しむ人たちの物語」

私には私の、あなたにはあなたの。スポーツの楽しみ方は人それぞれ。
⾃然の中で⾝体を動かすライフタイムスポーツを楽しみながら、人生を彩り豊かに過ごしている方は活力があり、魅力にあふれています。 その方たちは決してプロばかりではありません。
このコンテンツ「Story」では様々な楽しみ方で、自然とスポーツとともに日々を過ごしている人たちを取材し、ライフタイムスポーツの魅力とは何かをコンテンツを通して皆さんと一緒に感じていきたいと思っています。